犬の“血液検査の見方”|BUN・ALT・ALP・リン・コレステロールは何を意味する?

犬の“血液検査の見方”|BUN・ALT・ALP・リン・コレステロールは何を意味する?(検査タイミングとCa:P比も整理)

犬の“血液検査の見方”|
BUN・ALT・ALP・リン・コレステロールは何を意味する?

健康診断 血液検査 検査タイミング

検査表の数字に不安を感じたとき

健康診断や通院のあと、血液検査の結果表を見て「赤字がある」「基準値から外れている」と不安になることがあります。 BUN、ALT、ALP、リン、コレステロールは、よく目にする代表的な項目です。

ただし、血液検査はひとつの数値だけで体調を決めつけるものではないとされています。 複数の項目の組み合わせ、症状、年齢、食事、水分状態、運動、ストレスなどと合わせて「傾向」を読み取る考え方が現実的です。

注意
元気や食欲の低下、嘔吐・下痢、多飲多尿、呼吸の異常、痛みが疑われる様子など、気になる症状が続く場合は 早めに獣医師へ相談してください。
本記事は一般的な知識の整理であり、診断や治療を目的とした内容ではありません。

体の仕組み:血液検査は何を見ている?

血液検査で見えやすいこと
  • 臓器(腎臓・肝臓など)の働きの“目安”
  • 代謝(たんぱく質・脂質など)の状態
  • 栄養や水分バランスのヒント
  • 炎症やストレスなどによる揺らぎの可能性

血液は、体の中を巡る「情報の通り道」のようなものです。 臓器の働きや代謝の状態が変わると、血液中の成分にも変化が表れる可能性が示唆されています。

同じ犬でも、採血時の緊張、食事のタイミング、水分摂取、運動量などで数値が揺れることがあります。 そのため、単発の結果よりも経時変化(過去との比較)が読みやすい場合があります。

BUNを「高タンパクが悪い」と単純化しない

BUN(血中尿素窒素)は、たんぱく質代謝で生じる尿素由来の窒素を反映する指標とされています。 そのため「BUNが高い=たんぱく質が悪い」と受け取られやすいのですが、ここは誤解が起こりやすいポイントです。

BUNは、水分状態(脱水)食事内容消化管内の出血ストレスや体内のたんぱく分解など、 複数の要因と関連が指摘されています。
つまり、BUNが上がっている理由を「たんぱく質」だけに固定しないほうが、判断がブレにくい場合があります。

高タンパク食だと、BUNが高めに出やすいことはある?

ここは丁寧に扱いたい部分です。一般的に、たんぱく質の摂取量が多い食事では、代謝の過程で尿素が多く作られ、 BUNが“やや高め”に出る傾向が示唆される場面があります。

ただし重要なのは、そこで「だから健康に問題がある」とは限らないという点です。 腎機能が保たれていて、水分状態も安定しており、他の指標(クレアチニン、SDMA、尿比重、蛋白尿など)に大きな懸念がない場合、 BUNの高めは「食事やコンディションの反映」として説明できるケースもあります。

「BUNだけ高い」場面で確認されやすい周辺情報
  • クレアチニン/SDMA:腎機能の別の手がかりになりやすい
  • 尿検査:比重、蛋白尿(UP/C)など
  • 水分状態:脱水が疑われるとBUNが上がりやすい傾向
  • 食事と採血条件:食後・運動後・緊張などで揺れる可能性

※慢性腎臓病(CKD)や蛋白尿(PLN)などが疑われる場合は、病期や検査所見により食事方針が変わるため、 必ず獣医師と相談してください。


生肉(生食)・ローフードを一律に決めつけない

生肉(生食)や犬ローフードは「腎臓や肝臓に悪い」と語られることがありますが、 影響の出方は量・質・リン・エネルギー・衛生管理・個体差によって変わる可能性が示唆されています。

注意
生肉(生食)には、衛生管理(微生物リスク)や栄養設計の課題が指摘されるため、 体調や家庭環境に合わせた判断が必要です。
不安がある場合や持病がある場合は、獣医師へ相談してください。

検査タイミングでBUNは揺れやすい(食後・脱水・運動)

血液検査の「数値の差」は、病気の変化だけでなく採血前の条件(前処理)によっても生じる可能性があります。 特にBUNは、食事や水分状態の影響を受けやすいとされるため、比較するなら条件を揃える工夫が役立ちます。

  • 食後:採血が食後だと、代謝の影響でBUNが高めに出る可能性が示唆されています
  • 脱水:飲水が少ない、運動後、暑さや緊張などで脱水気味だと、BUNが高めに出ることがあります
  • 運動:運動の強度やその後の水分状態によって、数値が揺れる可能性があります

たとえば「前回は食後12時間後の朝、散歩なし」「今回は食後の夕方、たくさん走った後」というように条件が違うと、 差が出ても不思議ではないという考え方ができます。

注意
絶食時間や採血前の過ごし方は、検査項目や病院の方針で異なる場合があります。
体調や持病がある犬は、自己判断で絶食や水分制限をせず、必ず獣医師の指示に従ってください。

リンは“量”だけでなくCa:P比も手がかりになる

腎臓の話題で「リン」が注目されることが多い一方で、食事の評価は「リンの量」だけで単純に語りにくい面があります。

食事中のカルシウム(Ca)とリン(P)の比率(Ca:P比)は、骨やミネラル代謝と関連が指摘される大事な視点です。
たとえば、生肉(生食)でも、カルシウムはリンと引っ付いて排出される傾向があることから、骨やカルシウム源が適切に設計されていることも大事だと考えられます。

Ca:P比で見ておきたいポイント
  • 比率のバランス:極端な偏りは避ける方向性が一般的
  • 年齢差:成長期はミネラル設計の影響が出やすい
  • 腎臓の状態:病期や血中リン、尿検査などで方針が変わる可能性
  • “食事のリン”と“血中リン”は別:吸収や腎機能で変動し得る
注意
CaやPの過剰・不足、比率の偏りは、体質や年齢によって影響が異なる可能性があります。
手作り・生食(生肉)を含む食事設計を行う場合や、腎臓病が疑われる場合は、 獣医師(可能なら栄養に詳しい獣医師)へ相談してください。

主要項目の意味(BUN・ALT・ALP・リン・コレステロール)

BUN(血中尿素窒素)

BUNは腎臓の排泄機能と関連が指摘されますが、脱水、食事、体内のたんぱく分解などでも変動し得ます。 そのため、クレアチニン、SDMA、尿比重、蛋白尿などと合わせて考えると整理しやすい場合があります。

ALT(GPT)

ALTは主に肝臓の細胞に多い酵素で、肝細胞の状態と関連が指摘されています。 上昇の背景は幅があるため、症状や他項目も併せて判断されることが一般的です。

ALP

ALPは肝臓や骨などに存在する酵素です。犬では年齢やホルモン、薬剤の影響などで変動しやすいことが知られています。

リン(P)

リンは骨や細胞の材料となるミネラルで、腎臓の働きと密接に関連しています。 腎臓病の分野ではリン管理が重要視されることがありますが、食事の評価ではCa:P比や消化吸収の影響も踏まえると整理しやすい場合があります。

コレステロール

コレステロールは細胞膜やホルモンの材料となる脂質で、体質、食事、内分泌などと関連が指摘されています。

注意
異常値が続く場合や、症状(食欲低下、嘔吐・下痢、多飲多尿、体重減少など)がある場合は、 獣医師の診察を受けてください。

検査を比較しやすくする準備チェック

「前回より上がった/下がった」を落ち着いて解釈するには、採血条件を揃える工夫が役立つ場合があります。 ここでは、一般的に案内されることが多いポイントを、選択肢としてまとめます。

実践ヒント(選択肢)
  • 絶食:検査前は8〜12時間程度の絶食が案内されることが多い(指示は病院に従う)
  • 水分:多くの場合、水は制限しない方針が一般的(ただし個別の指示がある場合は従う)
  • 運動:当日は激しい運動を避け、前回と同じくらいの活動量に揃えると比較しやすい
  • 時間帯:可能なら毎回同じ時間帯(例:食後12時間の朝)で受ける
  • メモ:採血前の食事時刻、散歩の有無、走ったか、水分摂取などを記録
「差が出る」可能性が高い例(比較の注意)
  • 前回:食後12時間の朝・散歩なし / 今回:食後の夕方・運動後
  • 前回:しっかり飲水できた / 今回:飲水が少なく脱水気味
  • 前回:落ち着いて採血 / 今回:緊張が強く呼吸が荒い

こうした違いがあると、BUNなどが揺れる可能性が示唆されます。 「数値の差=状態の悪化」と決めつけず、条件も含めて獣医師と確認するのが安心です。

腸を軸に、科学と実践をつなぐ

HUGBOX(ハグボックス)では、犬猫ファーストの考え方を土台に、 自然素材腸を中心に整える発想科学と実践の両立を大切にしています。

数値を「良い/悪い」だけで終わらせず、腸の状態、食事の設計、水分、生活リズム、検査条件も含めて 全体のつながりとして観察する姿勢が、飼い主の安心につながる場合があります。

数字を味方にするために

BUN、ALT、ALP、リン、コレステロールは、それぞれ腎臓・肝臓・代謝などと関連が指摘される指標です。 ただし、単独の数値だけで食事や健康状態を決めつけるのは難しいとされます。

特にBUNは、食事(たんぱく質摂取)や水分状態、採血前の条件でも揺れる可能性があるため、 「BUNが高い=高タンパクがダメ」と単純化しない視点が役立つ場合があります。 リンについても、量だけでなくCa:P比など設計全体を見たほうが誤解が生まれにくいと考えられます。

気になる症状が続く場合や、検査で異常が繰り返し指摘される場合は、 必ず獣医師に相談してください。