犬の手作り食でよくある栄養ミスと安全な組み立て方|生肉(生食)を含む正しい考え方

犬の手作り食でよくある栄養ミスと安全な組み立て方|生肉(生食)を含む正しい考え方

犬の手作り食でよくある栄養ミスと安全な組み立て方

体に良いはずなのに、不安になる

わが子のために手作り食を始めた飼い主さんの多くが、途中で同じ壁にぶつかります。

  • 「この内容で栄養は足りているのだろうか」
  • 「市販フードより本当に良いのか分からなくなってきた」
  • 「生肉(生食)に興味はあるけれど、正解が分からない」
  • 「良かれと思って始めたのに、不安が増えてしまった」

手作り食は自由度が高い分、正解が見えにくいという特徴があります。

この記事では、犬の体の仕組みを土台にしながら、

  • 手作り食でよくある栄養の落とし穴
  • なぜ「腸」が重要視されるのか
  • 安全に組み立てるための考え方

を、科学的な知見を土台にしながら、日々の実践に結びつく形で整理していきます。

犬の体の仕組み「何を足すか」より「どう働くか」

犬の消化と栄養吸収の特徴

犬の消化管は人よりも短く、歯は鋭く、強力な胃酸を分泌します。 食べたものを素早く消化・吸収する仕組みをしています。

その特徴は肉食動物そのもので、「生」のまま「丸ごと」獲物を食すことで必要な栄養を補ってきました。 そのため、栄養の「量」だけでなく、消化できるか、腸で使われるかが非常に重要になります。

どれだけ良質な食材を使っていても、腸内環境が乱れていると、栄養は十分に活かされません。

腸と免疫の関係

近年の獣医学・栄養学の分野では、免疫機能の多くが腸と関わっていることが示されています。

  • 腸内細菌のバランス
  • 腸粘膜の状態
  • 日常的な食事の質と安定性

これらが、体調の土台を支えていると考えられています。 HUGBOX(ハグボックス)が「腸を中心に整える」という考え方を大切にしているのも、こうした背景があります。

手作り食でよくある栄養ミス

① タンパク質だけに偏ってしまう

「肉が大事」と聞き、肉類中心になりすぎるケースは非常に多く見られます。 確かに犬にとってタンパク質は重要ですが、

ミネラル/脂質の質/微量栄養素

これらが不足すると、長期的なバランスを崩す可能性が指摘されています。 生肉(生食)を取り入れる場合も、部位・種類の考慮が必要で、 赤身肉だけでなく、内臓各種、骨をバランスよく配合することが重要です。

② カルシウム・リンバランスの見落とし

手作り食で特に誤解されやすいのが、カルシウムとリンの関係です。

  • 肉:リンが多い
  • 骨・卵殻など:カルシウム源

このバランスが崩れると、成長期・シニア期では特に注意が必要とされています。 「なんとなく卵殻を入れている」 こうした曖昧な判断が続くと、個体によっては負担になる可能性も否定できません。

③ 野菜=健康という思い込み|野菜は“主役”ではなく“補助役”

「体に良い」「ビタミンが豊富」というイメージから、手作り食ではつい多く使われがちです。 しかし、犬にとって野菜は“必須の栄養源”ではありません。

犬は本来、動物性食材から栄養を効率よく吸収する体のつくりをしています。

  • ビタミンA:βカロテンよりレバーなど動物性食材の方が効率的
  • 鉄分:小松菜などの非ヘム鉄より、肉・内臓のヘム鉄の方が吸収率が高い
  • 亜鉛・B群:多くは肉・魚・内臓に豊富

野菜の役割は、腸内環境サポートや微量な抗酸化成分の補助、嗜好性調整といった補助的な位置づけです。 過剰な野菜量は消化負担になる可能性もあります。

安全に組み立てるための考え方

① 完璧を目指さない

一食単位で完璧を目指す必要はありません。 数日〜1週間単位でのバランス、体調・便・食欲の変化を観察することが大切です。

② サプリは補助として考える

サプリは食事の代わりではなく、多ければ良いものでもありません。 使用する際は、獣医師への相談をおすすめします。

③ 生肉(生食)を取り入れる場合

生肉(生食)は、適切に扱えば有効な選択肢の一つですが、 衛生管理・品質・個体差への配慮が欠かせません。 少量から段階的に取り入れることが重要です。

まとめ:理解した上で選ぶ

手作り食に唯一の正解はありません。 大切なのは、情報に振り回されず、体の反応を丁寧に見ること。 必要に応じて専門家の意見を取り入れながら、少しずつ整えていく姿勢が、 愛犬の健康を長く支える土台になります。

参考文献・知見

  • NRC Nutrient Requirements of Dogs and Cats
  • Small Animal Clinical Nutrition
  • 犬の消化生理・腸内細菌に関する獣医学的研究
  • Companion Animal Nutrition(レビュー論文)

※本記事は一般的な栄養学・生理学の知見をもとに構成しており、 特定の疾患や治療を目的としたものではありません。 健康状態に不安がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。