アレルギーかもしれない?原因・見極め方・食事でできること|本当に必要なケアを科学的に解説

犬がアレルギーかもしれない?原因・見極め方・食事でできること

はじめに:アレルギーの“本当の姿”を知ることから

かゆみ、涙、外耳炎、軟便──。犬に症状が出ると「食物アレルギーかな?」と考えがちですが、実際には食物アレルギーは全体の10〜20%ほどです。多くは環境アレルギー皮膚バリアの弱り腸の不調が原因となります。

1. 犬のアレルギーは3種類ある

  • 環境アレルギー(アトピー):花粉・ダニ・ハウスダストなどが主因。最も多いタイプ。
  • 食物アレルギー:10〜20%前後。IgE型・非IgE型があり、検査だけでは確定できない。
  • 接触アレルギー:洗剤・素材・植物など、皮膚が触れて起きる反応。

2. 食物アレルギーのよくある誤解

誤解1:下痢・軟便=食物アレルギーではない
加工食品の熱変性や酸化脂質、AGEsなどが腸粘膜を刺激し、炎症やガスを引き起こすことがあります。

誤解2:同じタンパクを食べ続けると必ずアレルギーになる?
厳密には誤りですが、臨床的には「過感作リスクが上がる傾向」は報告されており、新奇タンパクの利用は理にかなっています。

3. 本当に食物アレルギーのときに出やすい症状

  • 口周り・耳・目のまわりの赤み
  • 脇・股の炎症
  • 外耳炎の反復
  • 慢性的な軟便やガス
  • 食後の下痢

単独症状では判断できず、複合的に出るのが特徴です。

4. アレルギー検査の落とし穴

食物アレルギーは検査だけで確定できません。非IgE型は血液検査で検出されず、IgE値と症状が一致しないことも多いため、獣医皮膚科学では除去食試験(8〜12週間)が確定方法とされています。

5. アレルギーと間違われやすい“非アレルギー症状”

  • 季節性のかゆみ・乾燥
  • フケや皮膚バリアの弱り
  • 涙やけ(鼻涙管の詰まり)
  • 食べ過ぎや急な切り替えによる軟便
  • 加工食品による腸粘膜の負担

6. 食事でできるアレルギーサポート

① 腸を整える(最重要!)

腸には免疫細胞の約7割が存在し、アレルギー反応のコントロールに直結します。りんご・ごぼう・チコリ・きのこなどの水溶性食物繊維や、犬で検証されたプロバイオティクスを活用しましょう。

② 新規タンパクの導入

過去に食べていないタンパク源を使用すると、アレルギー症状が落ち着くことがあります。

③ 過加工を避け、素材の形を残す

加工が大きいほど腸の負担が増え、炎症リスクが指摘されています。素材の形を残したごはんは、消化吸収の点でも優しい場合があります。

④ オメガ3脂肪酸

EPA・DHAは炎症コントロールと皮膚バリアの構築に役立ちます。サーモン、イワシ、少量のフィッシュオイルなど。

7. 食物アレルギーが疑われるときの除去食の進め方

  1. タンパク源1種類に絞る
  2. 8〜12週間は他の食材を与えない
  3. 改善後、元の食材を少量戻して反応を見る(負荷試験)

まとめ:アレルギーは“整える”ことで変わる

アレルギーは完全にゼロにできなくても、腸・皮膚・脂質の質を整えることで、反応しにくい体を作ることができます。食事はそのための大きなサポートとなります。