犬が生食で下痢をしたときの原因と対処法
「生肉に変えたら下痢をした」──この質問は、生食を始めたばかりの飼い主さんから最も多いものです。
結論から言えば、生食初期の下痢は“悪いこと”とは限りません。 むしろ体が「本来の食事」に戻るための適応反応であるケースも多いのです。
この記事のポイント
- 腸内環境・酵素・脂質・温度など、下痢の原因を深く解説
- 「良い下痢」と「悪い下痢」の見極め方
- 血便が出たときの判断基準と安全な続け方
- 回復と再開のステップ・HUGBOXおすすめ商品
1. 生食で下痢をする主な理由
🧬 腸内フローラの再構築
ドライフードを食べてきた犬の腸内では、加熱炭水化物を分解する菌が優勢。 生食に変えると腸内フローラが再構築され、一時的な軟便や下痢が起こるのは自然な反応です。 これは「リセット期間」であり、多くは1〜2週間で安定します。
シニアの子や、元の状態が悪い子ほどリセットには時間を要する場合があります。 その子その子によってベストな移行期間は異なります。焦らずゆっくり移行していきましょう。⚖️ 消化酵素バランスの変化
生肉には酵素が含まれますが、加熱食に慣れた犬は酵素分泌がうまくできません。 そのため、切り替え初期には膵臓や胆嚢が追いつかず、一時的な消化不良が起きます。 徐々に体が慣れることで自然に改善します。
🐟 脂質バランスと個体差
「脂質が多いと下痢になる」と言われがちですが、脂質は本来、犬にとって重要なエネルギー源です。 問題なのは量そのものではなく、その子の消化吸収力に対して脂質が過剰になっている場合です。
胆汁の分泌や膵酵素の働きが追いつかないと、脂質が未消化のまま腸に届き、光沢のあるゆるい便や、油っぽい軟便として排出されます。 この状態が続くと、腸内フローラのバランスも崩れやすくなります。
逆に、脂質を適量に調整できると、腸の動きが整い、うんちの形・匂い・色も安定していきます。 脂質を極端に減らすと、皮膚の乾燥や被毛のパサつきなど、別の不調につながることもあります。
❄️ 冷たいまま与えている
半解凍の生肉を与えると腸が冷え、蠕動運動が乱れます。 常温で10分置いてから与えるだけで改善することも。
2. 「良い下痢」と「悪い下痢」の見分け方
タイプ | 状態 | 意味 |
---|---|---|
💡 良い下痢 | 軟便〜形のある便/元気・食欲あり | 腸の適応反応。体が整う過程。 |
⚠️ 悪い下痢 | 水様便/血便/元気がない | 感染・急な変化・冷えなどの不調。 |
3. よくある原因と対処法
生肉(生食)で下痢や軟便が出る場合、その多くは一過性の消化バランスの乱れです。 うんちの色・形・匂いには、腸内環境や食材バランスが正直に表れます。 以下のポイントを観察・調整していくことで、ほとんどの子が安定していきます。
- 脂質バランス: 脂質は悪者ではなく、エネルギーや皮膚・被毛の健康に不可欠。 ただし、その子の消化力を超えると、光沢のある便や油膜のような軟便になります。 体質や運動量に合わせて、消化しやすい肉を中心に、少しずつ脂質量を調整しましょう。
- 骨・カルシウムバランス: カルシウムが少ないと、うんちが柔らかく崩れやすくなります。 骨が入ったブレンドや、ボーンブロスでのミネラル補給を少量追加すると安定しやすくなります。
- 急な切り替え: ドライフードから生肉への移行は、腸内細菌の構成が変わるため時間を要します。 最初の3〜5日間は1割程度からスタートし、1週間〜2週間かけて完全移行を目指しましょう。
- 温度管理: 冷たいままのフードは胃腸を刺激し、下痢を誘発します。 常温で10〜15分置く、またはぬるま湯で軽く温めてから与えるのが理想です。
4. 血便が出たときの考え方
血便=危険、とは限りません。 生食初期の腸内変化で粘膜が剥がれ、ごく少量の血が混じることがあります。 これは腸の修復過程で自然に治まることも多いです。
- 鮮血が大量に混じる
- 嘔吐やぐったりなど全身症状を伴う
- 3日以上続く
このような場合は獣医相談を。 軽度なら量を減らして続ける方が、回復が早いこともあります。
5. 回復を早める方法
- 1食抜いて腸を休ませる(プチ断食)
- ボーンブロスで水分・ミネラル補給
- プロバイオティクスで善玉菌補給
- ハグボックスブレンド チキンで穏やかに再開
6. 再開のステップ
- ハグボックスブレンド チキンを少量から再開
- 1日1食で2〜3日様子を見てから通常量へ
- 温度は常温、脂質控えめ
7. 長期的な予防と安定のコツ
- 複数種でローテーション
- ボーンブロスを一緒に与えてあげる
- プロバイオティクスを継続摂取
- 便の状態を写真で記録